富士山が世界遺産へ登録 [観光]




スポンサードリンク


カンボジアのプノンペンで開催されている第37回世界遺産委員会で6月22日に富士山の世界遺産への登録が決まり、今回の立役者の一人とも言える近藤誠一文化庁長官も今日25日に帰国されましたね。
しかも、今回の富士山の世界遺産への登録で皆が特に喜んでいるのは、三保松原を含めての逆転登録についてです。

ユネスコの諮問機関「イコモス」からは、今年の4月に三保松原を除外して、富士山を登録するような勧告が出されていたんです。
近藤誠一文化庁長官からも、記者からの「厳しいというのはなぜ?」という問いに対し、
「イコモスの勧告がロジカルだからね...」
とやや弱気な発言が聞こえていました。
まあ、弱気と言うよりも事実だったんでしょう。

ですが今回の逆転登録劇はそんなに簡単なことではなく、日本の代表団の地道な努力がロビー活動(※)があったようです。
※ ロビー活動…特定の主張を有する個人・団体が政府の政策に影響を及ぼすことを目的として行う私的な政治活動。議会の議員、政府の構成員、公務員などがその対象。


各日本代表は、手分けをして20カ国の日本代表と接触し、「三保松原は富士山と一体である」と、強くアピールしたんだそうです。しかも、賞賛に値するのは、この先です。
日本の代表が各国の代表に接触した際には、「委員国の代表達の性格なども考慮した、丁寧なアプローチを心がけた」というところ。
これはなかなか難しいことだと思うのです。しかも、日本の代表達が本気でなければできないことだと思います。

その結果、20カ国の委員国のうち19カ国に三保松原を加えるとの意見に賛同してもらえ、晴れて無事に三保松原が加わった形での逆転登録となったんです。

私も富士山は一度だけ登ったことがあるので、嬉しい限りです。
DSCF0001.JPG


ところで、世界遺産とは何ですか?即答できますか?
もちろん、皆さん世界遺産という言葉は知っているんですが、その正確な内容というのは意外と知られていませんので、ここで説明しておきます。

■世界遺産の定義
「顕著な普遍的価値をもつ人類のかけがえのない遺産」
「国際協力を通じた保護のもと、国境を越え今日に生きる世界のすべての人びとが共有し、次の世代に受け継いでいくべきもの」
世界遺産には、「文化遺産」「自然遺産」その両方の価値を持つ「複合遺産」があり、有形の不動産が対象です。


■選出から決定まで
1.国が世界遺産条約を締結。
2.世界遺産登録を目指す物件を「暫定リスト」としてまとめてユネスコ世界遺産センターへ提出。
3.その中から1年につき原則1件をユネスコ世界遺産センターに推薦。
4.その後、文化遺産対象は国際記念物遺跡会議(ICOMOS)へ。
5.自然遺産対象は国際自然保護連合(IUCN)で現地調査を中心に審査。
6.年に1度開催される世界遺産委員会で認定。

まぁ、登録されるまでは本当に大変ですね。


■日本の世界遺産(16+1)
知床(自然遺産)
白神山地(自然遺産)
平泉‐仏国土を表す建築・庭園・遺跡群‐
日光の社寺
白川郷・五箇山の合掌造り集落
古都京都の文化財
古都奈良の文化財
法隆寺地域の仏教建造物
紀伊山地の霊場と参詣道
姫路城
石見銀山遺跡とその文化的景観
広島の平和記念碑(原爆ドーム)
厳島神社
屋久島(自然遺産)
小笠原諸島(自然遺産)
琉球王国のグスク及び関連遺跡群
富士山‐信仰の対象と芸術の源泉


ただ、世界遺産に登録されたからといって、全てが良いことばかりではありません。
世界遺産に登録されると、世界中に知られることになり観光需要は増えます。
当然、経済効果も上がる訳ですが、これに伴って大きなリスクもあります。
世界遺産に登録されれば、世界中より多くの人々にに知られるため、観光客が増加します。
そうすると、その自然が汚されたり破壊されたりする可能性も、当然増加するわけです。

自然遺産に登録されている小笠原諸島などは、外来種からの影響でその貴重な生態系を壊さないためにも、徹底したルールでその固有種の保護に務めています。
例えば、小笠原諸島への渡航ルートの船に乗・下船する際には、靴底や荷物についた虫や植物の種子、土壌を落とすために、靴底の洗浄マットやローラーを設置して、丹念に落としてから島内に入るように徹底しています。

この他にも、渡航できるのは住民のいる父島・母島と入場数制限をしている南島だけに限られています。
また、全ての島でのキャンプは禁止です。
南島と母島石門一帯ではガイドが同行しないと入れないなど、かなり厳しいルールを設けて、この自然遺産を保護しているんです。
そうしないと、守れないんです。


富士山でも今まで、アルピニスト野口健さんを中心にその自然環境を回復するべく、地道な清掃活動が行われてきています。
http://www.noguchi-ken.com/M/Measure/Fuji-cleanup/
野口健さんらの献身的な活動の結果、以前よりは大分綺麗になったようですが、それでもまだ、掃除しても掃除しても広大な敷地にあるゴミは無くならないそうです。
この野口健さんのブログにある現場の方々の意見を見いてみると、決して世界遺産登録はよろこばれておらず、逆に危機感が伝わってきます。
fujisan-gomi.JPG

今は世界遺産の登録が決定して皆さん喜びムード一色ですが、世界遺産に登録されたらされたでの今後の課題に目を向け、いよいよ美しい富士山を守るという方向へシフトする時期ですね。
富士山は、静岡県と山梨県にまたがっています。
なかなか複雑なこの状況はどうすることもできないので、あとは「国」・「静岡県」・「山梨県」が一丸となって、「美しい富士山」守るための厳しい制度・ルールを整えてもらいたいと思います。



スポンサードリンク



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。